Japanese Language Teaching Practices (JLT)
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日本語教育実践領域修了者の進路と将来像
日本語教育実践領域は、専門職大学院の理念に沿って、理論と実務を架橋するプログラム構成をしており、大学院修了と同時に、日本語教育の現場で教壇に立つことのできる実践的日本語教員養成を目指しています。学生は、1年目に日本語教育に関わる言語学?応用言語学分野を中心とした理論の習得に励み、2年目には、専門職大学院の特色を生かした3期にわたる教育実習(250時間相当)に臨みます。現在、国内外の日本語学習者の多様化が進んでおり、日本語教師には、多様化した学習者のニーズに応えられるよう、常に学び続ける力を身に付けることが求められます。本領域では、アクション?リサーチの研究?実践手法を取り入れ、大学院修了後の日本語教育現場に自己の実践を振り返り自己成長を続けられる教師を養成します。
本領域では、日本語教育分野における未経験者のみならず国内外の日本語教育機関で日本語教育や国際交流業務に従事した方々も受け入れています。
これまでの修了生のうち、6割以上の修了生が国内外の日本語教育機関で日本語教育に携わっています。外国人とのコミュニケーション能力を生かして大手日本企業に就職した卒業生も少なくありません。修了後の将来像としては次のようなものがあります。
- 国内外の日本語教育機関で日本語教育に従事する教師
- 大学?自治体等における国際学術文化交流担当職員
- 企業での外国人社員研修担当者
日本語教育実践領域で修得?向上する知識?技能等
- 日本語教育に関する知識?技能と実践能力
- 日本語教育カリキュラム開発に関する知識?技能
- 言語?文化に関する知識?技能と異文化間コミュニケーション能力
領域の特色
特色1:国内外での実習を通じた実践的な日本語教授法の修得
大学院1年目は日本語教育の基礎となる様々な分野の知識を習得するための授業が中心ですが、2年目は、秋、冬、春と3期にわたる教育実習が必修となります。秋学期は学内の留学生を対象にした学内模擬授業、冬期プログラム中は海外提携大学からの学習者を対象にした日本語?日本文化集中コースを運営する学内教育実習、春学期(3月)には2~3人でチームを組み、海外の提携大学において現地の学習者を対象に2週間の海外教育実習(※)を実施します(2024年度は台湾で実施)。
※:実習にかかる旅費等は、学生本人の負担となります。
特色2:多くの留学生が学ぶキャンパス環境を活用
本学の学内共通語は英語であり、学部プログラムでは、北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オセアニアの50を超える国?地域に広がる200以上の提携大学(※1)などから年間200名以上(※2)の留学生が日本人学生とともに英語で授業を受けています。また、留学生を対象とした日本語クラスも開講されています。本学に来て初めて日本語を学ぶ学生から日本語能力試験N1合格者まで、様々なレベルの学生を対象としており、2024年秋学期には、初級から上級まで、7レベル、合計週80時間以上のクラスが開講されました。大学院生も留学生のチューターをしたり、ボランティアの会話クラスを提供したりと、様々なバックグラウンドを持つ日本語学習者に日常的に接しながら、日本語教育を学べる環境です。
※1 : 2025年4月現在 ※2 : 平常時


リカレント教育対象者の履修について
日本語教育実践領域では、次の条件を満たし、審査に合格した学生は、1年半でプログラムを修了できるように、必修科目のうち「日本語教育実践研究(秋田)」及び「日本語教育実践研究(海外)と修了論文」が免除されます。その代わりに「日本語教育実践研究(リカレント教育)」と「日本語教育修了論文」が必修となり、学内外での実習と過去に培われた教授経験を振り返りながら、アクションリサーチペーパーを執筆します。
- 国内外での日本語教育経験を1,200時間以上有すること
- 一定の外部評価を受けた日本語教育機関での教授経験者であること
- 標準的な日本語テキストを使用して、初級から各種レベルのクラスを教えた経験があること
※上記項目に関しては、日本語教授経験を証明する書類が必要となります。
※このリカレント教育を選択する者は、通常の大学院入学審査で入学した後、日本語教育実践領域の審査を受けなくてはなりません。審査の結果によっては、対象者として履修を認められない場合もあります。
※リカレント教育対象者用プログラムは、「日本語教育試験」の基礎試験と実践研修免除の条件は満たしません。
ウェブ版『実習報告論文集』の紹介
『国際教養大学専門職大学院 グローバル?コミュニケーション実践研究科 日本語教育実践領域 実習報告論文集』(電子版)
J-STAGE(科学技術情報発信?流通総合システム)にて閲覧いただけます。
日本語教育実践領域 Facebook
日本語教育実践領域では、院生の日々の活動をFacebookで紹介しています。
登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関
国家資格としての「登録日本語教員」
2019年6月「日本語教育の推進に関する法律」が公布?施行されました。これにより国内外の日本語教育が、国?地方公共団体等によって推進される枠組みができました。この法律理念実現のため、「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(日本語教育機関認定法)が2024年4月1日に施行されました。この法律により、以下の二つの制度が創設されます。
- ①日本語教育機関のうち一定の要件を満たすものを文部科学大臣が認定する制度
- ②認定日本語教育機関の教員資格(登録日本語教員)
条件を満たした日本語教育機関は文部科学大臣に認定されます。認定された機関で日本語を教えるには、「登録日本語教員」という国家資格が必要となります。
「登録日本語教員」の資格を得る
「登録日本語教員」として登録されるためには、「日本語教員試験」(毎年秋実施予定)という試験(「基礎試験」と「応用試験」の2部構成)に合格し、「登録実践研修機関」が実施する「実践研修」(教育実習のこと)を修了することが必須となります。
ただし「登録日本語教員養成機関」が実施する養成課程の修了者は、申請により「基礎試験」が免除されます。また「登録日本語教員養成機関」が「登録実践研修機関」も兼ねる場合、「実践研修」は養成課程と一体的に行われます。養成課程の修了ののち、「応用試験」に合格すれば、資格が得られることとなります。
下記に、この流れにおける日本語教育実践領域の対応を随時更新して参ります。
日本語教育実践領域の対応する動き(随時更新予定)
登録日本語教員の資格取得に係る経過措置について
- 経過措置ルートCの対象課程(確認済)/必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程等
- 経過措置ルートD-1の対象課程(確認済)D-1/平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等
※参考:登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認について(文化庁ウェブサイト)
登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関
本学は2025年5月30日付で文部科学大臣より「登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関」として登録されました。
これにより、日本語教育実践領域では、2025年度9月入学者より「登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関」として「登録日本語教員」(国家資格)の養成課程を開始します。
「登録日本語教員」として登録を受けるためには、「日本語教員試験」(国家試験)に合格するとともに登録実践研修機関で実践研修を修了する必要があります。日本語領域実践領域の必修科目を修了すると、申請により「日本語教員試験」の「基礎試験」の免除を受けることができ、「実践研修」を修了したものとみなされます。
なお、「登録日本語教員」の資格取得には上記に加え「応用試験」合格が必要です。
領域代表からのメッセージ
現在、国外では141の国や地域に、約379万人の日本語学習者がいます(※1)。国内の学習者数は約263万人です。留学生、ビジネスパーソン、技能実習生や日本語を母語としない定住者、年少者などその背景は多様です(※2)。日本語学習者数の増加に伴い、日本語教師は、国内外から注目され、社会に求められるキャリアの一つになりました。
多様な背景を持つ学習者に対し、日本語教師に求められているものは何でしょうか。それは学習者の興味やニーズを的確に把握する力、学習者に適した日本語教育を提供する幅広い知識、臨機応変に現場の状況に対応する柔軟な思考力、同僚やスタッフと協力しあって仕事をするコミュニケーション能力と言えます。日本語教育実践領域では、1年目の座学、2年目の250時間相当の教育実習を通し、そのような力を備え、あらゆる現場において即戦力となりうる、高度職業人としての日本語教師を養成しています。本大学院が設立され18年、日本語教育実践領域の修了生が日本語教師として教鞭を執った国や地域は27になろうとしています。修了生と在学生の間に活発なネットワークが存在するのも、本領域の魅力の一つです。
このたび本学は登録日本語教員養成機関?登録実践研修機関として文部科学省に登録されました。これにより、日本語教師を志す方々に対し、理論と実践の両面からより高度で体系的な教育を提供することが可能となりました。
海外の教育現場で日本を発信し、日本サポーターを増やしたい方、国内の日本語教育現場で多様な学習者の社会参画、自己実現を支援したい方、また、国内外で専門的技能習得を目指す人に日本語を教えたい方、私たちと一緒に日本語教育を通して社会や世界に貢献をしていきませんか。
※1 : 国際交流基金2021年度海外日本語教育機関調査による
※2 : 文部科学省令和5年度「国内の日本語教育の概要」による
左治木 敦子 Atsuko SAJIKI
日本語教育実践領域代表
教授

修了生からのメッセージ
2020年のコロナ禍に卒業したのち、2年間セルビアで講師経験を積ませていただきました。そして、2022年からタイのラームカムヘーン大学で多様な背景を持った学生に日本語を教えています。日本語教師の仕事は日本語教育にとどまりません。コースデザイン、試験?教材の作成、イベントの開催など、授業外でも学生のサポートをする必要があります。また、他の先生方と協力することも大切です。
AIUで経験できたことは現在の職務に直結しています。基礎から応用まで、同期との学び合いや、3学期にわたる実習経験で、「協調力」や「現場力」を身につけることができました。また、学修達成センター(AAC)や秋田の日本語教室で働く実践の機会をいただき、日本語を教える経験を積めました。他にも、学内のテーマ別ハウス(※)の一つ「日本自然文化ハウス」のチューターとしてイベントを開いたり、日本舞踊部の活動に参加したことが、現在日本に関するイベントを企画する際に大変役に立っています。
卒業後も悩みを共有して互いに励まし合い、学び合える大学院の仲間と出会えたことは何よりの宝です。
宮本 冬美花 Fumika MIYAMOTO(出身地:長崎県)
ラームカムヘーン大学(タイ)

2013年にJLTを修了した後、タイのカセサート大学附属学校で小学4年生から高校3年生に日本語を教えました。その後帰国し、日本語教師以外の日本語教育の仕事も経験してみたいと考え、東京の出版社で日本語教育の教材や試験問題の作成に携わりました。2019年からは、国際交流基金の日本語試験センターで日本語能力試験の研究員をしています。現在は直接日本語を教えてはいませんが、自分の携わった試験問題が世界中の日本語学習者に解かれていると思うと、大きな責任と同時に、やりがいも感じています。
JLTでは、3期に及ぶ実習をはじめ、授業内外で多様な国籍やレベルの学習者に対して日本語を教える機会に恵まれました。そのおかげで、修了後に初めて仕事として日本語を教えた時も特に緊張はせず、いいスタートが切れたように思います。試験問題の作成では、受験者を具体的にイメージすることが重要ですが、AIUで出会った多くの日本語学習者との経験が、今の仕事にも役立っています。
JLTの2年間で先生方から学んだ知識や、仲間と一緒に考えたり悩んだりした経験は、日本語教育に関わる自分の基礎となっています。
工藤 優 Yu KUDO(出身地:宮城県)
国際交流基金(JF)日本語試験センター
在学生の声
私は数年間、日本語教師としての経験を積んだ後、より学問的な理論を深めたいと思い、この「日本語教育実践領域」への進学を決めました。日々の授業や課題を通じて、今まで感覚的に捉えていた教育方法が理論的に説明され、多くの新しい気づきを得られています。また、自律研究という個人の興味関心分野を掘り下げて学ぶ機会もあり、未経験者だけでなく、経験者にもおすすめできる環境だと思います。
永冨 聡 Satoshi NAGATOMI(出身地:千葉県/出身大学:青山学院大学)
“英語で幅広く”学ぶ学部から“日本語で専門的に”学ぶJLTに進学し、自分の興味をとことん突き詰める毎日がとても楽しいです。勤務経験、留学経験、言語学習経験など、学友とお互いの違う経験をヒントにしながら日本語教育について深めています。日本語教育は需要の高まりとともに教師の働き方も改善されている分野です。日本語教師への興味?憧れをJLTで現実にしませんか?
佐藤 希美 Nozomi SATO(出身地:愛知県/出身大学:国際教養大学)
現在までの修了生の主な就業先(日本語教育機関のみ)
- 日本:秋田大学
- 日本:秋田県立大学
- 日本:沖縄科学技術大学院大学
- 日本:国際基督教大学
- 日本:国際教養大学
- 日本:東京外国語大学
- 日本:東京国際大学
- 日本:南山大学
- 日本:新潟大学
- 日本:立命館アジア太平洋大学
- 日本:ECC 国際外語専門学校
- 日本:秋田日本語学院
- 日本:東京中央日本語学院
- 日本:江戸川区多文化共生センター
- 日本:厚生労働省外国人就労?定着支援研修事業
- 日本:カナン東京日本語学校
- 日本:ISI グローバル株式会社日語事業推進部
- 台湾:開南大学
- 中国:上海市商業学校
- 中国:天津科技大学
- ロシア:日露青年交流センター
- タイ:カセサート大学付属マルチリンガルプログラム
- タイ:泰日工業大学
- タイ:ラームカムヘーン大学
- トルコ:チャナッカレ? オンセキズ? マルト大学
- ブルネイ:ブルネイ?ダルサラーム大学
- マレーシア:マレーシア日本高等教育プログラム
- マレーシア:クアラルンプール大学
- ベトナム:Fourth Valley Concierge Vietnam Company Ltd.
- ニュージーランド:International Pacific University New Zealand
- 米国:アーカンソー大学
- 米国:ウィリアム?アンド?メアリー大学
- 米国:オクラホマ大学
- 米国:カリフォルニア大学サンディエゴ校
- 米国:ディキンソン大学
- 米国:ノースカロライナ大学シャーロット校
- カナダ : ダグラス?カレッジ
- デンマーク : オーフス大学
- フィンランド : タンペレ大学
- フランス:グルノーブル?アルプ大学
- ルーマニア:ブカレスト大学
- エジプト:エジプト日本科学技術大学
- セルビア:ベオグラード大学 他