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大学通信「有名企業400社への実就職率」第3位の舞台裏 – 三栗谷 キャリア開発センター長に聞く
2018年9月に株式会社大学通信が発表した最新の「有名企業400社への実就職率」(2017年度卒業生対象)で、国際教養大学(AIU)は東京工業大、一橋大に続く第3位を獲得しました。競争率が高い「有名」企業の採用試験をくぐり抜け、晴れて就職するのは、もちろん、学生一人ひとりが日々積み重ねてきた努力の賜物ですが、大学としては、このような熱心な学生たちのキャリア形成を、どのように後押ししているのでしょうか。12年にわたって学生たちの就職活動を支援してきた本学キャリア開発センター長の三栗谷 俊明さんに聞きました。
はじめに、今回の「有名企業400社への実就職率」第3位という結果は、どのように受け止めていますか?
まずは社会的評価を受けたことは大学にとってはありがたいと思います。しかし、大学では、ここで対象となった400社に入るための就職活動を支援しているわけではありません。日本国内だけでも約420万社以上あると言われている企業の中には、今はまだ有名でなくとも、次の20年後に日本や世界をリードしていく可能性を秘めている企業も多くあります。そのような中小企業?ベンチャー企業も含めて、学生には広い視野をもって就職先を考えてもらいたいとも思っています。本学に限らず、現在の学生たちの多くは、大手志向が強いと言われています。
キャリア開発センターとしてはまず、学生が大手企業に入社する、しない、を選択できる状況を整備することが大切と考えています。すなわち、大手企業?中堅/中小企業?ベンチャー企業?公務員/団体職員?教員?国内外の大学院進学など、多くの選択肢を提供できることが重要と考え、学生たちと向き合っています。その中で結果として、2017年度卒業の学生のうち進学した学生を除き、44%が有名400社に入社したところですが、学生の皆さんはあくまで自身のキャリア形成のスタートラインに立ったということです。入社後が大切ですね。経団連が採用ルールを廃止すると発表するなど、大学生の就職活動を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。今後、大学や学生にはどのような視点が必要でしょうか。
これから10年以内に、東アジアを中心とした人材の流動化が一層加速していくと考えられます。例えば、既に日本の大手製造業から、海外現地においての同一労働同一賃金の求人も寄せられています。また、日本企業も直接海外の大学にリクルーティングに出向き、優秀な人材の獲得を進めています。そのような就労環境の変化の中で、本学卒業生が将来の豊かな日本づくりに寄与できる人材であってほしいと願っています。語学力のみならず、IoT社会に対応できる力や、どんな環境下でも生き抜いていけるタフさ、そして様々な観点から正しい判断ができる力を在学中に身につけて欲しいと思います。
新卒一括採用の是非について話題になっている今だからこそ、「何のために働くのか」について、就職活動をする学生だけでなく、私たちキャリア開発センターのスタッフも、より深く考えなくてはならないですね。我が国が国際競争力をさらに上げていくためには、新卒採用に関して変革が必要な時期でしょう。カリキュラムの独自性を取り上げられることが多いAIUですが、キャリア開発センターではどのような工夫をしているのですか?
「1年間の海外留学」は、本学のカリキュラムの中でも肝となるものの1つですが、帰国後すぐに就職活動を始める学生にとっては、情報収集などの面で不安もあります。それを解消するために、本学では留学中の全学生を対象にSkype面談を実施しています。少人数だからこそできる支援ですね。同じように、小規模大学だからこそできる支援として、内定学生と共同で作成する就職活動ハンドブックや、いつでもスタッフや内定者と相談できる場づくり、留学を経験して社会人となった卒業生とのOB?OG座談会などがあります。さらに年間190社にも及ぶ学内企業説明会を実施しています。また、1年間の留学の間に全世界に駐在している卒業生と直接駐在先で語らい、将来の自分のキャリアプランを明確にするプログラムを、今秋からスタートさせます。
時代の流れを読み取り、よりスピード感のある支援に今後とも取り組みたいと考えています。
キャリア開発センターの取組はこちらでも紹介しています。ぜひ、ご覧ください。