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【オススメの一冊シリーズ】No.1 加藤 信哉 図書館長
本学のキャンパスは木々が赤や黄色に色づいています。日暮れも日ごとに早くなり、夜長を楽しむ季節になりました。この時期はなんとはなしに書棚に目をやるものですね。
以前は職員から直接おすすめの本を聞くことができた中嶋記念図書館ですが、今はそれが叶いません。
そこで、本学の教職員に「私がオススメする一冊」を聞きました。
シリーズ第1回は、中嶋記念図書館 加藤 信哉 館長の「オススメの一冊」をご紹介します。
プロフィール
加藤 信哉 図書館長?特任教授
- 好きな書籍:音楽書、エッセイ
- 好きな著者:山田稔
おすすめの一冊
外山滋比古「日本語の論理」(中公叢書)
この本を選んだ理由
秋田から上京し図書館短期大学に入学した1973年の春に、同級生から外山滋比古さんの『日本語の論理』という本が評判になっているが、アルバイトをしているので書店にいく時間がとれない、代わりに買ってきてくれないか、こちらに渡すまで読んでも構わない、と頼まれたのが本書との出会いです。
読んでみると、英語学習者としての視点から、日本語について、論理、創造性、文章構成、言語と思考、外国語学習、翻訳、文化、映像、美学の各トピックから考察しているエッセイ集でした。著者の明快でやや硬さのある文章に惹かれ、続編と言える『日本語の感覚』(中公叢書 1975)を皮切りに著者の新刊を手にしたことを記憶しています。
メッセージ
著者は、英語を読んで生まれた素朴とも言える疑問、バラバラな英語の単語が、なぜ、一つのまとまりとして理解されるのか、を出発点として、言語にも映画と同じように空白を埋める残像作用のようなものがあると考え、「修辞的残像(after image)」という概念を作り出しました。それに基づいて『修辞的残像』(垂水書房 1961)をまとめました。さらに、作者と読者の関係を考察し、文学作品が古典となるのは、時間と空間を超えた読者の存在によるものであるとした『近代読者論』(垂水書房 1964)を出版しました。『日本語の論理』の背景にある著者のオリジナルな考えを鮮烈に提示した上記の著作を読むことをお勧めします。
今回ご紹介した本は、本学の中嶋記念図書館で取り扱っています。本の詳細はこちらからご覧いただけます。
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