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国連ユースボランティア体験記(2021年度) ~川上 野乃華さん~
国連ユースボランティアプログラム(UNYV: United Nations Youth Volunteers)は、国際機関である「国連ボランティア計画(UNV: United Nations Volunteers)」により開発途上国に設置された事務所や現地政府機関で行う、大学生のためのインターンシッププログラムです。
2021年度にこのプログラムに参加した本学学生 川上 野乃華さんの体験記をご紹介します。
※これまでに参加した学生の記事は、こちらをご覧ください。
川上 野乃華さん
スリランカは1年を通して気温が高く、毎日が夏日です。私の派遣期間中は、コロンボが位置する西側地域は乾季であったため、湿度もそれほど高くなく過ごしやすい気候でした。スリランカは自然が豊かな国で、コロンボから少し離れると、透明なビーチや、山一面の紅茶畑、野生の動物が数多く生息する草原などが広がっています。コロンボはスリランカ最大の都市で高層ビルが立ち並び、とても発展している印象を受けました。スリランカの人々は仏教徒が多いためか、日本に親近感を持ってくださる方が多かったです。
参加したきっかけは何ですか
AIUでは国際関係学や国際協力理論などに関心を寄せ学んできました。世界平和を提唱し、SDGsを掲げ、より良い社会構築をリードする国連の取り組みやレポートは、毎日のようにディスカッションの議題に挙がっていました。この機会を通じて、今まで学んできたことが現場でどのように実践されているのかを自分の目で見て学びたいと思いました。
コロナの影響で留学が中断してしまったため就職活動に切り替えることも考えましたが、学生のうちに海外での新しい体験や出会いを通して自分の視野を広げ、日本では起こりえないような困難に挑戦することで自分の限界や可能性を知りたいという思いを強くもちました。社会に出る前に、組織の中で、海外で、多様性の中で働くとはどういうことなのかを知ることで、自分が将来どのようにキャリアを構築していきたいかを考え直す良い機会だと感じました。
どんな活動をしましたか
私は世界の平和と開発に貢献するボランティア精神の普及のため、広報官としてUNVの活動を外部に向けて発信する業務を主に担当しました。具体的にはSNS全般のマネジメントと、月に一度のニュースレターの発行を任せていただきました。
Instagram、Twitter、Facebookの3つの媒体を主に使用し、週に2回の投稿を目指し月間計画を立て、利害関係者へのインタビューなどからコンテンツを作成しました。SNSに関しては裁量を委ねていただき、投稿用の画像のレイアウトデザインも担当していました。
また、月に1回、国際連合の他機関に向けて発行されるニュースレターの執筆を担当しました。その月にUNV Sri Lankaが行った活動を報告するために、ボランティア参加者にインタビューをしたり、取得したデータを簡単な図表にまとめたりする作業を行いました。
今年度UNVは設立50周年を迎え、12月には大きな祭典が開催されました。プロモーションのプランを考えたり、プレスリリースの原稿を作成したりと、祭典の企画運営にも携わることができ、祭典後の写真の振り分けや管理まで関わらせていただきました。他にもスリランカの大学生を対象としたリーダーシッププログラムやSDGsワークショップに関するアウトリーチを行いました。
活動を終えての感想を教えてください
まずは、コロナ禍にもかかわらず、この機会を用意してくださった関係者の皆様、そして5カ月間、私をサポートしてくださった先生、家族、友人に感謝の気持ちでいっぱいです。任期を振り返ると、毎日が新しい出会いや体験で溢れていて、とても刺激的な日々でした。
国連といえども、地域オフィスにはその国の文化が色濃く反映されており、そこで多様なバックグラウンドを持つ人たちがともに働いています。それぞれの考え方の違いに戸惑うこともありましたが、相手のことをよく理解したうえで、確実に業務を遂行するには、お互いの妥協点を見つけ出す必要がありました。そこで改めて感じたのは、「対話の持つ力」です。オンラインベースのコミュニケーションが増えてきている時代だからこそ、自分の考えだけでなく相手への感謝の気持ちを丁寧に伝えていくことで、信頼関係が構築され、業務もスムーズに進められるようになりました。
また「たかがインターン、されどインターン」で、裁量が大きく与えられている分、責任ある言動が求められます。電話対応での態度やメディアで発する言葉一つひとつに「国連」という看板を背負って対応していました。特に私は、世界中に発信できるプラットフォームを使用していたので、自分の言動が与える影響はとても大きいと感じました。たった一言の選択をミスしただけで、その文章はある利害関係者にとって否定的な意味をもつ文章になりうるのです。常に複数の利害関係者の立場を理解し行動する必要がある、このような環境で働くことができたからこそ、どの瞬間も気を抜かず責任を持って自分の業務を遂行する「当事者意識」を身につけられたと感じています。
この5カ月間を通して得た出会いや学びは、自分のキャリア観だけでなく、生き方にも通じる貴重な財産だと感じています。この学びを次のステップにつなげられるように、これからも挑戦を続けていきたいです。