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本学学生がインターンシップ先の日本酒蔵元で学内向けイベントを開催
2023年2月18日(土)?19日(日)に本学の中村 匠さん(1年次)と金巻 凜さん(1年次)が、インターンシップ先である日本酒蔵元で見学イベントを学内向けに開催しました。
中村さんと金巻さんは2023年1月から2月まで秋田県横手市にある浅舞酒造でインターンシップに参加し、その活動の一環として本学の留学生と教員を対象に和食と日本酒、蔵元を紹介するイベントを開催しました。お二人にインターンシップに参加したきっかけや今回のイベントについて聞きました。
学んだ知識を現場で試す機会
中村:金巻さんとは学内ワークショップのAIUデザインLABに一緒に参加しており、「県内企業と学生の就職先をつなげるマッチング事業」を提案しました。その過程で、秋田県内の経営者の方々に直接フィードバックを頂く機会があり、浅舞酒造の柿崎社長はフィードバックをお願いした1人でした。
金巻:実は、浅舞酒造はインターンシップ生を募集していたわけではありませんでした。中村さんと私が自ら柿崎社長に声をかけ、インターンシップの機会を得たいとお願いし快諾していただいたのがインターンシップのきっかけです。そのような経緯もあり、まず「インターンシップでどんなことに挑戦したいか」を自分たちで考え、提案する必要がありました。 二人で決めたインターンシップの目標は「世界のより多くの人々に和食と日本酒について知ってもらう」ことでした。ウェブサイトとSNSでの情報発信や、海外から見学に来る外国人へ英語で蔵を案内することなどに取り組みました。さらに1月は酒の仕込みシーズンであったので、酒造りの現場に関わる貴重な体験もできました。
酒造りの現場から
金巻:酒造りの現場を間近で見るのは初めてでした。酒蔵のみなさんの丁寧な仕事ぶりはもちろん、注がれる労力に度肝を抜かれました。酒造りの工程の中でも手間がかかるのは麹造りで、生き物の麹を扱う現場では熟練した蔵人が経験に基づいて、その瞬間の温度や湿度に応じて絶え間なく麹の世話をします。瓶詰めされ店に並んでいる一本一本の日本酒がこのような丁寧な手仕事によってできあがるんだということを思い知らされた貴重な経験です。
和食と日本酒を深く知ってもらうきっかけに
中村:私はもともと、異なる食文化の背景を持つ外国人が日本の食文化をどう受け止め、どのように享受するのかということに興味がありました。日本酒や日本の食文化についてより深く知るきっかけを作りたいと思い、そのような動機から開催した今回のイベントでは、AIUにいる留学生と外国人教員に日本酒の酒造りを紹介し、またこの酒蔵で造られたお酒を飲んで楽しんでもらう機会を提供したいと思いました。
金巻:今回のイベントは中村さんと私の二人で企画書を作り社長に提案して開催させていただきました。蔵元の見学に加え、日本酒のテイスティングについては様々な種類の日本酒に合わせた和食のペアリングメニューを自分たちで考えるのがとても難しかったです。試行錯誤を繰り返し、ペアリングメニューには、イチゴとドライマンゴーのフルーツ、ポテトサラダといぶりがっこ、人参?きゅうり?瓜の酒粕漬けなどの日本の家庭料理に加え、チーズやスナック菓子なども用意しました。
中村:ペアリングに正解はありませんが、今回の参加者はそれぞれ異なる食文化の背景を持つということを念頭に置き、食材のバリエーションを意識したメニューを用意し、各々にとっての最適なペアを探してもらうことにしました。イチゴはベリー系で酸味があるタイプの食材の代表例として、ドライマンゴーは酸味の中に甘味があり日本酒に合わせやすいと考え用意しました。チーズとスナック菓子も身近な食べ物でありながら、旨味が強く日本酒との相性がいいと思います。ポテトサラダは家庭料理であり誰でも簡単に作れるおつまみとして、いぶりがっこは秋田の郷土料理の一つとして秋田のお酒とともに試してほしいと考えました。人参、きゅうり、瓜の酒粕漬けは日本酒の酒粕を使った料理として用意しました。
酒粕の漬物も好評
金巻:当初想定していたよりも参加者は少なかったものの、イベントを振り返ってみるとちょうどよい人数だったと思います。1日目は5名の留学生を自分ひとりで担当したのですが、テイスティング?ペアリング体験が思ったよりもスムーズに進まず、計画していたことを100%出し切れなかったため悔いが残りました。そんな中でも参加してくれた留学生たちはとても楽しんでくれている様子で、最後には「母国に帰ってから家族とも日本酒を楽しんでみたい」と話してくれて、とても達成感がありました。お酒の味の違いをしっかりと堪能し表現してくれたことが何より嬉しかったです。2日目は段取りもつかめた上で、参加者も2名と少なかったため、とても密度の濃い経験ができました。イベント後には「素敵なイベントを開いてくれてありがとう。少人数で開いてくれたおかげでとてもパーソナルな経験になり、記憶に残るいい体験だった。酒造りの行程まで知ることができて、日本酒に対する愛着が湧いた」と話してくれました。
中村:2日間のイベントを通して、3名の教員と7名の留学生がイベントに参加してくれました。テイスティングでは日本酒と食べ物ともに好評でした。なかでも酒粕の漬物は独特の香りがきつくないか心配していましたが、思いのほか好評だったことには正直驚きました。参加した学生に「天の戸の日本酒を母国で見つけたら買います!」と言ってもらい、これをきっかけに日本食や日本酒をより楽しんでもらえたら嬉しいなと改めて感じました。
インターンシップを終えて
金巻:このインターンシップで一番苦労したのは自分が蔵にどのように貢献できるかを考え行動することでした。酒蔵は男社会の色が強く、毎日の作業には力仕事も多いです。お酒が入った15kgほどの箱を運んだり、大量の水が入った樽をひっくり返して水を抜いたりするなどの作業が続き「金巻さんには重すぎて難しいので」と作業に参加できないこともしばしばで、正直なところ無力感を感じることもありました。 転機が訪れたのはインターンシップ4週間目です。女性の蔵人と酒造りに入った時でした。その方は酒袋を洗う作業を私に任せてくださり、私の裁量で作業を進めることができました。そこで初めて自分がこの蔵に貢献していると、わずかながらも感じることができました。働きながら周囲の方からの信頼を得るというプロセスを経験できたことは大きな収穫でした。
中村:私は浅舞酒造でのインターンシップを通して、机の上で学んだ知識を現場で実際に使うこと、そしてその経験を知識に活かす過程の大切さを改めて感じました。例えば、雪国の酒蔵には冬季が閑散期となる農家の雇用の場としての側面もあります。その事実を知識として持ったうえで、実際にスイカ農家や百合農家といった様々な農家の方々が冬季の間に日本酒造りに携わっていることを実体験として学び、酒蔵で垣間見える地域とのつながりを発見し理解することができました。また、日本酒イベントで留学生からフィードバックをもらうなかで、それぞれの食文化の背景や視野が違えば味覚の感じ方や表現も異なり、一つの体験でも多面的に考えることの大切さを改めて学びました。
本学ではインターンシップを「学生が実際に働くことで組織のあり方や働く人々の考え方を学び、進路について考えるきっかけ」と捉えており、インターンシップ期間の長さに応じて単位を付与するなど、学生の積極的な活動を後押ししています。インターンとなる期間は2週間から3カ月程度で、インターンシップ先は、各学生の出身地や秋田県内、あるいは留学先の国の企業、官公庁、国際機関、NGOなど多岐にわたります。大学が仲介するインターンシップだけではなく、学生が自身の興味や関心に合わせてインターンシップ先を見つけます。入学後間もない時期からキャリアに対する意識を高め、知識や経験を通した自己理解の上に立って、キャリアを幅広い視点で考え、職業選択に結び付けられるようにサポートする本学の進路支援についてはこちらをご覧ください。