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本学学生の研究が国際学会の査読付き論文に採用されました
2023年8月から2024年6月まで、韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology: KAIST)技術経営学部(School of Business and Technology Management)に留学した本学の工藤 慶介さんのレポートをご紹介します。
今回、工藤さんは学部生として留学し、チームで人間工学に関する論文作成に取り組みました。そして、International Ergonomics Association (IEA)の国際学会の査読付き論文として採用され、学会発表を行いました。工藤さんの留学先での活動や抱負について伺いました。
AIUを志望した理由
私の通っていた香港の高校が、理系や文系の区別がない複合型のカリキュラムを採用していたこともあり、芸術、哲学、ビジネスなどの分野に興味がありました。高校の時から、理系や文系の垣根を超えて、幅広い分野を学びたいという思いがあったので、AIUに進学しようと思いました。AIUに入学してからも、AIや生物学、経済学など幅広い学問を学ぶことができ、入学前に想像していたとおりの学び方ができています。
留学先のKAISTでの授業と学会論文
KAISTでは人間工学に関する授業をとりました。その授業では大きく2部で構成されていて、前半に人間工学に関する理論を学び、後半にグループワークとして4~5名程度のチームに分かれ、実際の実験を設計し、レポートしました。私が受講した2024年はちょうどInternational Ergonomics Associationが3年に1度開催する国際学会 IEA 2024が韓国で開催される予定であり、授業の後半のグループワークのゴールとして、IEA 2024の査読付き論文の投稿に挑戦するという、学部の授業としては、ややハードルの高い目標が設定されました。授業には30くらいのチームが参加していましたが、私たちのチームは論文の投稿に挑戦する6チームに選ばれ、さらに先生の指導を受けながら論文を手直しして投稿し、2024年12月発行予定のIEA 2024の論文集に掲載されることが決まりました。
私たちのチームは、KAISTの産業デザイン工学科に所属する学生やフランスからの留学生など、多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されていました。チームとして取り組んだ論文のテーマは、「VR/ARヘッドギアのユーザーが歩きながら画面操作をするときに最適なボタンサイズの研究」でした。画面に表示されるボタンは小さすぎると誤操作が増え、大きすぎると画面構成に支障になるため、大きさを抑えながらも誤操作が減る、ちょうどいいサイズはどれくらいなのかを実験的に示すことを目的としました。実験では10名の参加者たちに、J字型の経路を歩きながらA、Rゴーグルに表示された15mmから45mmの大きさのボタンに触れる動作を数回繰り返してもらい、操作完了時間、誤操作回数などを測定しました。測定した結果は統計的手法で比較し、最適なボタンの大きさはどれかを検証する議論で結論づけています。
チームメンバーは、実験設計、ARプログラミング、データ処理などそれぞれ得意なスキルを持ち寄って協働して論文としてまとめる作業を行いました。私はAIUの授業でアカデミック?ライティングに慣れていたこともあり、論文全体の構成と書き方をどうするか、どのようにすれば伝えたいことを端的に表現できるかをチームのメンバーと相談しながら作業しました。そこで特に役に立ったのが、私がAIUで受講した谷川先生のメディアに関する授業です。メディアは、いかに人を魅せられるか、いかに分かりやすく伝えるかを常に意識しないといけないもので、学術的な文章においてもそのような工夫をすることを心がけるきっかけになりました。
一方、実験の設計やデータ取得は、初めての試みで難しい点もありました。ARゴーグルを着用した被実験者が歩きながらボタンを操作する動作を数十回繰り返すことでデータを取得していましたが、その際に歩く経路はまっすぐの線でいいのか、曲がった方がいいのか、また実験するその場で起きたエラーにどのように対応するかなど試行錯誤をしながら実験を計画し行いました。
工藤さんの振り返り
まずはやってみようと思うことが大事だと思います。留学先の授業でも、共通の課題ではありましたが、学会での発表に挑戦してみようと思って、留学先の学生たちと取り組むことができました。AIUで生活する上でもさまざまな変化を楽しみながら、これからも行動できる人になりたいと考えております。