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私の留学レポート:ポルトガル?ISCTEリスボン大学~加持 悠良さん(3)~

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生とともに履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。

今回は、ポルトガルに留学していた加持 悠良さんのレポート最終回をご紹介します。

こんにちは、ポルトガルのISCTEリスボン大学に留学していた加持 悠良です。私の留学レポートもこれで最終回です。

留学生との写真
友人たちとサッカー観戦(写真左が加持さん)

留学中の体験も貴重な時間

「ポルトガルの国技は?」と聞かれると、誰もがサッカーと答えるくらい、ポルトガルはサッカーが盛んな国です。サッカー経験がない方でもクリスティアーノ?ロナウド選手の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。彼はポルトガル領のマデイラ島という太平洋に浮かぶ小さな島で生まれました。ポルトガル代表選手としてこれまで数々の記録を打ち立ててきた偉大な選手を一目見ようと、ポルトガル対ポーランドの試合を観に行きました。先発で出場したロナウド選手は、後半に見事なバイシクルシュートを含む2得点を決め、ポルトガル代表が5-1で勝利する最高の試合でした。

クリスマスの季節をヨーロッパで迎えると、この行事に対する現地の人々の思い入れは特別で、日本とは異なると感じました。11月になるとクリスマスマーケットが少しずつ開催されるようになり、店も街もクリスマス一色となります。ポルトガルはもちろんのこと、私はオーストリアの首都ウィーンとチェコの首都プラハのクリスマスマーケットも訪れました。ホットチョコレートやホットワインはどの国にもありますが、国によって特徴的だったのは手作りの工芸品です。例えばウィーンは、キリストの生誕の風景を描写したミニチュアKrippe(クリッペ)など、職人の精緻な技術によって作られるクリスマスの装飾品が多く並んでいました。一方プラハでは、キャンドルや帽子に加え、吹きガラスなどチェコの伝統工芸品が多くみられました。複数の地域のクリスマスマーケットを巡ることで、それぞれの文化や技術を知ることができ、非常に貴重なクリスマスを体験することができました。

リスボン中心地ロシオ広場のクリスマスマーケット
リスボン中心地ロシオ広場のクリスマスマーケット

クリスマスが終わると、新年を迎える時期となります。私は日本へのフライトが元旦だったので乗り継ぎのドバイで年越しをしました。ドバイといえば、世界一の高さを誇るブルジュ?ハリファ周辺で行われる豪華なカウントダウンが有名です。それを生で見られるチャンスはこれから先なかなかないだろうと考え、AIUから同じ大学に留学していた友人と一緒に、ドバイで年越しができるように帰国の旅程を組みました。当日は2人とも連日の旅行の疲れから風邪をひき体調が優れない中、8時間もの間、野外でカウントダウンを待つという過酷な時間を過ごしましたが、厳しい状況を乗り越えて見たカウントダウンは、非常に思い出深いものとなりました。カウントダウン終了後、周辺の交通規制の影響で帰りの飛行機に間に合わないかもしれないという危うい状況もありましたが、必死でタクシーを捕まえて空港になんとか到着したことも、今となっては忘れられない思い出です。

ブルジュ?ハリファのカウントダウンショーの写真
世界一の高層建築物であるブルジュ?ハリファのカウントダウン

留学中は、日本では体験できないものを一つでも多く経験することを目標としていました。帰国した今になり振り返ってみると、この目標は達成できたのではないかと自分では思っています。料理、お風呂、買い物など、日常生活のどのワンシーンを切り取っても、日本での生活とは異なり、どれも新鮮な経験でした。留学の主な目的は学業ですが、それ以外の経験から得られる知識や視点こそ、何よりも貴重な財産になると私は考えます。

ポルトガル語の学習

私は1年の留学期間を通じて、ポルトガル語の基礎を学びました。AIUの留学は語学留学ではなく、留学先で多くの価値観に触れる中で、自身の専門分野における学びと理解を深めるためのものです。そのため、現地の言語を学ぶかどうかは個人の判断に委ねられています。私は、その国ならではの文化や価値観を学びたいと考え、留学先の大学で開講されているポルトガル語の授業を履修しました。

同じ授業を履修している学生の多くがポルトガル語と言語体系が似ているスペイン、イタリア、フランス出身の学生で、すでにポルトガル語が話せる学生もいる中、私は単語も文法もほとんど知識がない状態で授業に臨みました。語学の授業ということもあり、周りの学生とコミュニケーションをとったり、プレゼンテーションをする機会が多く、当初は不安と焦りを感じながら学習していました。しかし、周囲の学生に支えてもらいながら、自ら積極的にコミュニケーションをとったり、自主学習を積み重ねることで無事、単位を修得することができました。この授業を通じて、滞在先のポルトガル人の大家さんと、ポルトガル語で少し会話できる程度の語学力(会話力)が身につきました。ポルトガルの歴史や文化を取り入れた授業であったため、当初の目的も達成でき、充実した語学学習になったと思います。

留学から得た目標

私は留学を通じて新しいことに挑戦することの楽しさや重要性に気づくことができました。新しい挑戦には、失敗のリスクも伴います。これまで私は、失敗はネガティブな結果しか生まないと思っていました。しかし必ずしもそうとは限りません。失敗を恐れて一歩も踏み出さないでいれば、成功の喜びも、失敗したときに得られる気づきも、どちらも手放すことになると思います。そう考えると、何もしないでいるよりまずは挑戦したほうが自分にとってプラスになると考えるようになりました。
この気づきを活かし、私は現在新しい学内イベントを企画しています。まだ計画の段階で、自分がやってみたいと思ったことを具体化している最中なので詳細は書けませんが、留学で挑戦することの楽しさを知った経験がこの行動につながったのだと私は思っています。多くの人を巻き込むイベントを企画しているだけに、失敗したときのリスクも大きいとは思いますが、その分得られる達成感や喜びも大きいものになるだろうと考えています。

新しいことに一歩踏み出せないでいる方、特に学生の皆さん、とりあえず挑戦してみましょう。それが成功しなかったとしても、あなたにとって貴重な学びにつながるはずです。得られた学びを通じて、今後どうなっていきたいのかが明確になっていくと私は思います。

後輩たちへ

これから留学する皆さん、またこれからAIUへの入学を志す皆さんにお伝えしたいのは、自分の理想を明確にすることが大切だということです。留学を例にすると、まず留学先で自分は何をしたいのか、留学を通じて自分はどうなりたいのか、自分の理想のビジョンを持つことを強くお勧めします。学業に関することに限らず、さまざまな理想のビジョンを持つことで、それを実現するためにはどうアプローチしていけばいいか考えることができます。理想は必ず達成しなければいけない目標ではありません。理想が実現できなかったとしても、悔やむ必要はありません。しかし、理想に近づくための努力は忘れないでください。努力した結果、理想が叶わなくても、その過程で得られる経験や学びは、必ず自分の糧になります。
AIUへの入学を志している皆さん、入学は決してゴールではありません。AIUに入って自分が何をしたいのか、どうなりたいのか、そういった理想を実現させるまでのプロセスの一つでしかありません。卒業後の自分の理想をかなえるために、AIUでの学びや留学先での経験を通して何をすべきかを考えてみてください。
とはいうものの、私自身も自分の理想に向かって努力を続けられているかと問われると、恥ずかしながらできていない部分も多いです。しかし、理想がなければ自分の行動の目標も分からなくなってしまいます。私も「自分の理想に向かって努力を続けられているか」を自問自答しながら、挑戦を続けていきます。

これまで読んでいただきありがとうございました。

国際センターから一言

全3回にわたる留学レポートを読み終えた今、留学前には気付けていなかった「行動力に溢れる加持さん」を知ることができ、とても嬉しく感じています。留学生活で得た気づきを実際の行動に移すことで、自分自身の新たな可能性を引き出せたことと思います。

「挑戦することの大切さ」や「成功の反対は 『失敗』ではなく 『行動しなかったこと』」という素晴らしい気づきを大切にしながら、これからも世界で活躍するグローバル人材を目指してください。

英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください