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私の留学レポート:マレーシア?マレーシア科学大学~横江ひか里さん(2)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生とともに履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、マレーシアに留学中の横江ひか里さんのレポート第2弾をご紹介します。
こんにちは、横江ひか里です。グローバル?スタディズ領域に所属しています。せっかくマレーシアという民族多様性に富んだ国に留学しているので、私はマレーシアやアジアの社会、人々についての理解が深まる授業を主に履修していました。今回はその中でも特に興味深いと感じた授業を紹介します。

Asian Thought: Indian, Chinese, and Japanese/アジアの思想:インド、中国、日本
みなさんはアジアと聞いて、どんな印象を持ちますか?アジアが世界の他の地域と比べ特異な点の一つに、思想の多様性があります。アジアには、一神教のイスラム教、キリスト教、仏教、多神教のヒンドゥー教、そしてアニミズム的な要素を持つ神道などがあります。この授業では主に、インド(ヒンドゥー教、仏教)、中国(道教、儒教)、日本(禅仏教、神道)で信仰されている宗教や思想について学びました。授業でもそうですが、マレーシアでは日常生活においても、宗教観を問われることがよくあります。私はいつも無宗教だと答えるのですが、よく考えてみれば自分が無宗教であることに確かな理由はなく、むしろ宗教についてよく理解していないため、どの宗教を選ぶかを考える段階にも立てていないのだと気づきました。一方で、お米一粒にも神様がいると信じていたり、夏は竿燈まつりを楽しんだり、大晦日に除夜の鐘をつきに行ったりと、私の生活は日本特有の宗教的習慣に少なからず影響を受けているということも改めて感じるきっかけとなりました。

目指すべき多民族社会とは?
マレーシアといえば、「民族多様性」のイメージがある方も多いのではないでしょうか。主にマレー系、中国系、インド系などが共存するマレーシア社会はさまざまな文化に触れることができるため、一留学生としてとても贅沢な体験ができていると感じることが多いです。そのダイバーシティにおける課題点に気づくことができたのも、この留学での大きな学びだと感じています。例えば、民族格差です。ブルーカラーと言われるような肉体労働はインド系の民族が担っていることが多く、ホワイトカラーとされるオフィスワーク等の職業には中国系が多いように感じます。また、ブミプトラ政策といわれるマレー人優遇政策もあり、すべての民族に公平、平等な社会の実現への難しさを目の当たりにしました。さらに興味深かったのは、マレーシアでは自分のことを「マレーシア人」という人はマレー系マレーシア人のみで、華人なら中国系マレー、インド系ならインド系マレー、という風に民族アイデンティティを主張する傾向があります。また、学校や街中でも、違う民族同士が交流しているところを目にする機会は少ないので、そういった点からもマレーシアが目指すべき多民族社会とは何なのか考えさせられます。

人々のあたたかさに触れた旅
学期の合間の休暇は1カ月間あったのですが、いろいろな縁と運命が重なり、ネパールに行ってきました!留学前にインターンをしていたNPOの活動拠点がネパールの山奥にある片田舎であったこと、留学前に短期アルバイトをしていたグランピング施設でネパール人の同僚たちととても親しくなったこと、マレーシアにきてから山登りが好きになりヒマラヤに強い憧れを持ったことなど、これはもう「ネパールが私を呼んでいる!」と思い、一人旅を決行しました。常夏のマレーシアから標高が高く、2月下旬のまだ肌寒いネパールへ。南国の気候ももちろん大好きですが、寒いからこそ感じられることもありました。例えば、朝の布団のぬくもり、スパイスの効いた温かいチャイが心と体に染みわたる感覚、心に響く人々の笑顔。そんな旅の中でも、特に印象に残っていることがあります。ネパールに滞在中は経済的に困窮している人たちから路上でお金を求められることが少なくなかったのですが、私はそういった方法でお金を得ることに依存してはいけないと思ったので、お金を渡すべきではないと感じました。しかし、多くのネパール人たちはそういった人々を見かけると財布を取り出し、少額ですが渡している人が多い印象を受けました。そんな様子を見ているうちに、優しさはもっとシンプルなものなのではないかと感じ、どちらの意見が正しいなどとあまり難しく考えず、自分の信じる優しさを与えられる人でありたいと思うようになりました。寒さから逃げるため、常夏の島ペナンを留学先に選んだ私は、思いがけずネパールで別の「あたたかさ」を再発見することになりました。人々のシンプルで無邪気な優しさと大自然に心を洗われた2週間を過ごし、ネパールから帰る飛行機では自然と涙がこぼれるほど大好きな国になりました。またすぐにネパールに行きたいです。

残りの休暇は留学先で出会った日本人の友人とインドネシアのロンボク島で過ごしました。前のセメスターではたくさんのインドネシア人の友人ができ、私はフレンドリーで人懐っこい彼らの性格の虜になっていました。未知の国に旅することももちろん楽しいですが、不思議と縁を感じる国、仲良くなった友人がいる国を訪れることは、また特別な意味があります。自分のこれまでの活動や留学中の人間関係が、違う形で新たなワクワクを生み出してくれる、そんな素敵な経験ができた休暇でした。
留学も残り3カ月となりましたが、最後まで目がきらきらする瞬間を追い求めていきたいと思います!

国際センターから一言
観光だけでは得ることのできないリアルを体感し、多様な文化や価値観に触れることで、横江さんの物事に対する見方や考え方が、驚くほどに変化し、さらに深まっている様子が伝わってきます。涙が出るほど魅了された国や文化をいったん離れ、日本に帰国した横江さんが、それらの気づきや学びをどのように昇華させていくのか、今後の展開も気になります。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください