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私のオススメ授業紹介:日本のビジネス文化(本村いく実さん)

国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。

また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。

この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。今回は本村いく実さんのオススメ授業をご紹介します。

こんにちは、愛知県出身の本村いく実です。カナダのトロント大学に留学しました。

本村いく実さん
本村いく実さん

科目情報

  • ECN343 日本のビジネス文化
  • 教員:笹渕一史特任教授
  • 単位:3単位

履修した理由

カナダ留学中に現地でアルバイトをした際、労働環境や文化、ルールといった日本での「当たり前」との違いに大きな衝撃を受けました。日本では「無言で黙々と働く」「お客様は神様」といった価値観が根付いており、真面目さやチームワークが重視される傾向があります。一方、カナダでは「従業員が楽しく働くことが結果的にお客様の満足にもつながる」といった考え方が一般的で、働く側の感情や個性も尊重されていました。そうした違いを肌で感じる中で、日本の働き方の美徳とされてきた価値観を改めて見つめ直すとともに、外国のフランクさや柔軟性にも学ぶべき点が多いと強く感じました。

また、私は以前から、在日外国人の就労環境や日本社会への適応に関心があり、異なる文化背景を持つ人々が日本企業や日本社会の厳格なルールや慣習とどのように向き合っているのかを深く知りたいと考えていました。そのためにも、まずは自国の企業文化や価値観、働き方について客観的かつ体系的に理解する必要があると感じ、この科目を履修することを決めました。

授業内容の紹介

本授業は、日本独自の働き方や価値観を、他国と比較しながら学ぶことのできる授業です。たとえば、日本では終身雇用や年功序列、ジョブローテーションなど独特の制度が存在し、それらがどのような歴史的背景のもとで生まれ、発展してきたのかを学びます。また、それらの制度の良い点?課題点について議論する機会もあり、日本の組織文化に対する理解を深めます。

さらに、世界からも注目される日本の長時間労働や過労死などの問題についても考えます。「根性論で頑張ること」が美徳とされる文化が、どのように過労死や慢性的な残業といった問題につながるのかを文化的視点から考察します。

また、グローバル化が進む現代において、日本社会はどのように変化し、今後私たちが社会に出ていくうえで何を変えていくべきなのか、グローバルスタンダードとは何かについても考える機会が得られます。たとえば、女性が働きやすい環境整備や、職場での言語の多様化などの事例も取り上げられます。

授業ではグループワークやプレゼンテーションが多く取り入れられており、学生同士の活発な意見交換が行われます。多くの留学生が受講しており、カナダやデンマーク、中国など各国のビジネス文化と比較することができるため、日本の特徴や課題、強みを客観的に捉えることができるのが大きな魅力です。

授業を履修して得られたこと

この授業を通して、自国である日本のビジネス文化を客観的に見つめ直す貴重な機会を得ることができました。留学生から「日本は旅行にはいいけれど、働くには厳しすぎる」といった声を聞くことがあり「過労死」「長時間労働」「残業」などのネガティブなイメージが、海外からどのように受け止められているのかを改めて実感しました。

授業では、普段当たり前と思っていた日本の働き方や価値観の背景を、理論や歴史的観点から学ぶことができ、日本で社会人として働くとはどういうことかを深く考えるきっかけになりました。

笹渕教授は、日本と海外の両方で豊富な実務経験をお持ちであり、実際の職場でのエピソードを交えた「生きたビジネス文化」の話を多く聞けたことも、非常に印象に残っています。また、毎回の授業でのプレゼンテーションや、学生の質問に丁寧に対応してくださる姿勢からは、少人数授業のAIUならではの学びの深さを感じました。知識だけでなく、多様な視点から日本を見つめ直す視野を得られたことが、何よりの学びだったと感じています。

笹渕先生からのメッセージ

皆さんの世代とそれ以前の世代で最も大きく異なっていることは、人生の舞台が世界に広がっていることです。その点では、グローバルな環境で4年間を過ごしておられる皆さんは、他大学の学生よりも極めて優位なポジションに立っていることに、もう少し自信を持っても良いのではないかと思ってます。専門性は、ご自身の学びの姿勢次第で、これからいくらでも身に付けることができます。
一方で、グローバルに活躍する人々には、常に立ち戻ることができる原点「Home」が必要です。各人の活躍の成果を、「Home」「Hometown」「Homeland」への貢献に繋げられるように、それらの位置付けを国際比較の中で確認しながら、よりよい姿を一人一人が思い描くことができれば、それが皆さんの活動の原動力になるのではないかと考えています。授業が、以上のことを考えるきっかけの一つになることを願っています。