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私のオススメ授業紹介:日本映画Ⅱ(溝部和貴さん)
国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。
また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。
この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。今回は溝部和貴さんのオススメ授業第2弾をご紹介します。

科目情報
- JAS375 日本映画Ⅱ
- 教員:ショーン?オライリー教授
- 単位数:3単位
履修理由
私がこの授業を履修したのは、アメリカ留学が始まる前にショーン先生の授業を履修して映像制作、演劇への学びを深めたかったからです。留学先では主に、演劇や映像制作に関する授業の履修を計画していました。
また、前の学期にショーン先生の日本映画に関する授業を履修し、自分の知らない新たな日本映画の旅がとても刺激的だったので履修を決めました。今回紹介する授業では前の学期の授業よりもさらに踏み込んだトピック(戦争美化や映画に反映された日本社会など)を取り扱いました。日本映画への挑戦と思われる作品を鑑賞する中で、留学生の視点に驚かされたり、文化的背景による解釈の違いに圧倒されるなど、多くの新たな気づきが生まれました。
授業の特徴
AIUの教授陣の中でもとびっきり個性的なショーン先生は時折、着物姿で教室に現れることもあり、オフィスアワーでは毎回長時間にわたり映画や芸術に関する情熱を語り合うこともあります。
今回の授業では日本のそれぞれの時代の描き方という視点をベースに、平安時代、戦国時代、幕末、そして太平洋戦争時と、時代を駆け巡りさまざまな日本映画を鑑賞しました。制作、感情、そしてその当時の世界情勢など、さまざまな視点から映画を探求することで結果的にその映画が日本にどのように影響を及ぼしたのかを議論する授業です。
同じ歴史的事実を扱う映画でも、50年前に制作されたものと近年制作されたもので、その歴史的事実の捉え方が異なる点が紹介されました。時代の流れや社会的風潮などが、映画制作者の歴史的事実の見解にも影響を及ぼしているという指摘が特に興味深かったです。同じ事実を扱う映画でも時代によってその描写が異なる点を理解してからは、映画を鑑賞する視点も変わり「歴史的事実に焦点を当てた視点」「映画が作られた当時の観客の見方に基づいた視点」「現在の私たちが持つ視点と反応」のそれぞれで映画を楽しむことができるようになりました。
また、授業中に著名な日本人映画監督の紹介があり、それぞれの監督のスタイルを学びます。それに倣ってクラスの中でグループ別に5分程度のショート映画を制作する課題もあります。映画制作に携わった経験のある学生や留学生もいれば、動画制作のイロハも全くわからない学生もいます。ただ、この課題で求められるものは高い水準の技術ではなく、ある監督の制作のスタイルにインスピレーションを受けながら自らの表現方法やオリジナリティを追求することです。映画の専門用語がよくわからなかった自分でも、授業の終わり頃にはある程度映画制作の技法や手法を判別できるようになりました。
授業を履修した感想
この授業はたとえ映画に対して情熱的な関心がなかったとしても、日本映画の素晴らしさに気づかせてくれる授業だと思います。実際に自分たちがショート映画を制作することによって、映画のプロダクションには多大なチームワークと監督のリーダーシップが必要であること、そしてスクリーンに映るものは制作にかかる膨大な労力のごく一部に過ぎないことを、身をもって感じました。
また、映画が公開された当時の観客の意見が必ずしも未来の私たちにそのまま引き継がれるとは限りません。時代を超えることで、観客の感情や好みも変わります。また過去の映画と現在の映画で使われる映像制作技術を比較するだけでもこの50年間における日本映画の変化を十分に感じ取ることができます。私自身、最近は日本映画をあまり鑑賞していませんでしたが、授業で見た映画『切腹』には度肝を抜かれ、私の好きな映画ランキングのトップ5になっています。
留学先の大学で映画に関する授業を履修したときも、AIUでこの授業を履修し、日本の著名な映画監督のスタイルやミザンセーヌ(Mise-en-scène)を理解していたおかげで、留学先での学びを深められたと感じます。
この授業は、日本映画というメディアがどのようなコンテンツを発信しながら変貌してきたのか、さらにその発信は国際的にどのように評価されているのかという映画界の一端を垣間見ることができる授業です。演劇や映画制作などに少しでも興味を持っている方には、まさに理想的なスタートポイントとなるでしょう。
オライリー先生からのメッセージ
あなたは「実話に基づいた」と銘打たれた映画を観て、心を揺さぶられた経験はありませんか。スクリーンに映し出される歴史の描写は、完全にフィクションの物語よりも、なぜか心に深く響くものです。しかし、歴史家のロバート?ローゼンストーンが唱える「スクリーン上では、歴史が真実であるために虚構でなければならない」という衝撃的な主張を、あなたはどう捉えますか?
本講義(通称:Screening Japanese History)に参加して、その答えを見つけましょう!
※実際のコメントは英語ですが、ここでは意訳した日本語を掲載しています。
