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メディア?レポート
著書紹介『〈わたし〉からはじめる地方論』(工藤尚悟准教授)
本学のグローバル?スタディズ領域の工藤尚悟准教授が書籍『〈わたし〉からはじめる地方論~縮小しても豊かな「自律対話型社会」へ向けて~』を出版しました。

著者による紹介
〈わたし〉から考える地方の将来
日本社会は長期的な人口減少フェーズにあり、経済、行政、教育など、社会のあらゆる側面において再設計が必要です。若者の割合が高く人口が増加していた時代につくられた制度や経済モデルを、高齢者の割合が高くなりながら人口規模が縮小していくこれからの時代にも、そのまま維持し続けることは困難です。この課題は2000年代前半から認識されていますが、私たちは未だに、縮小社会をデザインするための設計思想を探し続けています。
ヒントは小さいスケールのなかにあります。日本という1つの国の単位ではなく、まちやむら、そこに暮らす〈わたし〉の視点から、これからの地域のあり方を考えることで、大事にしたい価値観や思想を言語化することができます。それは、「地域おこし」、「地域活性化」、「地方創生」など、これまで中央から発せられた言葉によって語られてきた客体としての地方ではなく、自分たちの言葉でこれからのあり方を想像?創造する主体としての地方という、立場の変容も促します。
自分たちの言葉を獲得するプロセスが進むことで、それぞれの地域が語る「自律的な豊かさ」が見えてくることでしょう。そうした自律的な豊かさに気づいている地域同士が出会い、対話を重ね、双方向に学び合う空間がつくられることで、自律対話型社会が生まれてくる。そんな地方の未来を、この本は予見しています。(そうした対話は既に全国各地で起きはじめています。読者の皆さんが実際にそうした場面に出くわす日も近いかもしれません。)
本書が、自律的な豊かさを語る対話の場が生まれるきっかけになることを願っています。